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SEIANOTE

成安で何が学べる?
どんな楽しいことがある?
在学生の制作活動から卒業後の活動までを綴る
「SEIANOTE(セイアンノート)」です

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「成安クリエイター合宿2018」レポート【前編】

REPORT

成安クリエイター合宿2018レポート

いつもとは違う画材で発想が自由に!?
初日はワークショップ2本立て!

「成安クリエイター合宿」って?

アートやデザインの分野でクリエイターを目指す高校生を対象にした夏合宿。2日間のプログラムを通して、作品をつくる意味やスキル、芸術で社会を生き抜くために必要なことについて学びます。

緊張の面持ちで
制作三昧の2日間がスタート

 「成安クリエイター合宿」は、その名の通り1泊2日の合宿です。レクチャーあり、制作あり、そして第一線で活躍する卒業生のゲストトークありの、盛りだくさんな48時間。

2018年8月20日。受付時間の12:00になると、続々と参加者が到着。たくさんの画材がお出迎え。

 今回参加したのは、高校1年生1名、高校2年生6名、高校3年生12名の計21名。友達同士ではなく、ひとりで参加している人がほとんどです。少し緊張した表情で集合し、スケジュールなどの説明を受けたあとは、早速最初のワークショップ「いろいろ画材で人物クロッキー」がはじまりました。
 まずは、宇野君平先生(美術領域准教授)と藤井俊治先生(共通教育センター助教)が、さまざまなアーティストの人物表現をスライドでレクチャー。写実的に人物を描く表現だけでなく、思い切りデフォルメしたり、内に秘めた感情を投影したりと、表現方法は多種多様。

 「人物を描く」といっても、描き方、使う画材は自分次第!と背中を押されたところで制作タイム。部屋の入口には、アクリルガッシュ、マスキングテープ、マジック、パステル、インクや木炭などの画材がたくさん並んでいます。そして、参加者の席には何やらこんもり膨らんだ封筒が……。

ズラリと並んだ画材。アクリルガッシュ、色鉛筆、マジック、墨守など、おなじみの画材から、シールやスパンコールなんて一風変わったものも。

 なかをあけてみると、人それぞれ違うものが入っていました。ある人はアイシャドウとチーク、またある人にはハンコ、そしてスーパーボールとスタンプインクなんて組み合わせも。
 さらに、描く紙もコピー用紙やボール紙、イラストレーションボードからトレーシングペーパーまで、質感も色も異なるものが用意され、どれをどう組み合わせるかは自由自在です。

モデルを担当したのは、2日間の合宿中にサポートも行う在学生スタッフたち。ややクセ強めのポーズで挑み、参加者の緊張がほぐれるひと幕も。

 在学生がモデルとなり、5分ずつポーズを変えてクロッキーがスタート。封筒から転げ出てきたスーパーボールを手に「一体、これは……」と、一瞬戸惑いの表情を見せていた参加者も、次の瞬間には、スタンプインクをスーパーボールに塗り、紙の上をコロコロ。シールを手にした参加者は、点描のようにペタペタ。

 5分が経過すると、封筒に入っていたアイテムを、隣の人にまわしていきます。これを繰り返すこと7回。終了する頃には、なんのためらいもなく、封筒のアイテムを使いこなしている参加者の姿がありました。本来、絵を描く道具ではない雑貨や日用品。あえてそうしたアイテムを使うことで、慣れ親しんだ画材で描くよりも、それぞれ開放的で自由なアイデアが生まれていたように思います。

 ひとつめのワークショップが終了したあとは、ゲストを招いた「クリエイターズ・トーク」。ゲストは東京を拠点に雑誌や広告、音楽のアーティスト撮影を行うカメラマン・神藤 剛さんと、子どもたちをモチーフに優しい水彩画を描き、絵本『サンタようちえん』(イースト・プレス)も出版したイラストレーター・上原結子さん。ともに成安造形大学の卒業生です。

写真クラス卒業生の神藤 剛さん(右)と、イラストレーションクラス卒業生で、現在イラストレーション領域 准教授でもある上原結子さん(左)。

 「人を表現する魅力」をテーマに行われたトークでは、おふたりが学生時代にどんな作品を制作していたのか? いつ、何がきっかけで、今の道へ進むことになったのか? そして、社会に出て環境が変化することで何が変わったのか? など、現在に至るプロセスが語られました。

トーク後に行われた、お菓子を食べながらの“おやつ座談会”。ゲストとの距離も近くなり、神藤さんにサインを求める参加者の姿も。


デジカメを使って
フレーム(構図)の実験

 トーク後は、本日最後のワークショップ。テーマは「人とフレーム―写真で考える―」。1回目のワークショップは、さまざまな画材で人を描くことを行いましたが、今回はデジカメを使って表現していきます。
 スライドレクチャーでアーティストたちがどんな表現をしているのかを学んだあと、グループにわかれて教室の外へ。各グループは、思い思いに大学の敷地内を散策しながら、デジカメで「フレーム(構図)」を意識して撮影を行います。

あるグループは芝生を猛ダッシュしていたり、またあるグループは階段で寝転がっていたり。学内のあちこちで、ちょっと不思議な光景が繰り広げられていました。

 撮影した写真は、グループごとに発表。シャッタースピードを遅くして、残像で躍動感を表現したり、4コマ漫画のようにオチをつけたり、視線をうまく使ってフレームの外に世界を感じさせる作品にしたりと、グループごとに個性が際立っていました。

グループごとに写真を発表中。「そうきたか!」の連続で、笑いが起こる場面も。

 1日目のワークショップを振り返って、宇野君平先生(美術領域准教授)はこうまとめました。「思い悩むことなくチャレンジする姿に胸を打たれました。どんどん遊んでいく精神、外側にある面白いものを見つけていく姿は、本当に素晴らしいと思います」。また、藤井俊治先生(共通教育センター助教)も「予定調和ではない、実験的な試みがとても良かったと思います。普段、思い込みで見ているものを1mmずらすことで、見えるものがガラリと変わる。今日気づいたことを明日の制作でもいかしてもらえたら」と、初日を締めくくりました。

 長丁場のワークショップを終えたあとは、みんなでバーベキュー。参加者と学生スタッフや、先生たちも一緒にテーブルを囲み、ざっくばらんな夕食タイムに。その後バスで宿泊先に移動し、盛りだくさんな合宿1日目が終了しました。

1日目を終えて、参加者と学生スタッフたちもすっかり打ち解けた様子。宿泊先では学生スタッフの作品プレゼントークも行われました。

 さて、明日は参加者それぞれに作品プランを練り、制作する最終日。一体どんな作品が完成するのでしょうか?