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SEIANOTE

成安で何が学べる?
どんな楽しいことがある?
在学生の制作活動から卒業後の活動までを綴る
「SEIANOTE(セイアンノート)」です

ABOUT

「はる谷。」という世界観をもったイラストレーターに仕事を頼みたいと思ってもらえるようになりたい

INTERVIEW

卒業から3年目

「はる谷。」という世界観をもった
イラストレーターに仕事を頼みたいと
思ってもらえるようになりたい

在学中から“はる谷。”の名義で、「ゆめかわいい」イラスト(※1)のグッズ展開をしたり、似顔絵イベントに参加したり。卒業後はイラストレーター兼イベントプランナーとして個展の開催やカフェとコラボしたメニューの提案、他の作家とコラボ商品を制作するなど、さらに活動の幅を広げています。日々、派遣として働きながらイラストレーターとして知名度を上げている、はる谷。さんに卒業からこれまでの活動や今後の目標について聞きました。

はる谷。さん

イラストレーター/イベントプランナー

高知県生まれ。2018年に成安造形大学 イラストレーション領域卒業。在学中からクリエイター&ハンドメイド商品を取り扱う『tenten城』(大阪・中崎町)でゆめかわいいオリジナルグッズを販売するほか、卒業後は同店で月1回定期イベントを実施。2019年3月には大阪・新町にあるレンタルスペースでセルフプロデュースカフェ『creator‘s collabo café ama♡ii』を2日間限定でオープン。8月には個展『Connect♡you』(DESIGN FESTA GALLERY)を東京・原宿で開催するなど、精力的に活動している。

>はる谷。ポートフォリオ ウェブサイト


グッズをつくり始めたきっかけは
MONゼミの先輩の展示

Q.01

在学中から自分のイラストをグッズ展開されていたそうですが、グッズをつくろうと思ったきっかけはあったんですか?

大学1年生の時にイラストレーション領域のMON先生のゼミの先輩たちがそれぞれ独自のイラストで様々なグッズをつくって学内で展示・販売をしているのを見て、“学生でもこんなグッズをつくることができるんだ”って思ったのがきっかけです。それまでグッズはメーカーさんがつくるものだと思い込んでいました。それを機に自分で色々調べて、缶バッチ、シール、アクリルキーホルダーなどをつくりました。最初にお披露目したのは1年生のときの成安の大学祭です。

Q.02

はる谷。さんはMON先生のゼミに所属されていたんですよね。

MON先生は商業イラストレーターとしても活躍されているので、イラストレーターとして働くうえでの大切なことをたくさん教えていただきました。今でも困ったことがあるとメールで相談にのってもらったり、機会があればポートフォリオを見てもらったりしています。在学中は色々な指摘を受けていたのですが、最近ポートフォリオを持って行ったときは「私が言うことはもうない」と言ってくださって、すごくうれしかったです。少しは成長できたのかなって思いました。


Q.03

今振り返ると、どんな学生だったと思いますか?

限られた時間の中で、自分のやりたいことを実現するための方法を考えて時間の使い方を工夫していました。性格的にやりたいことが最優先になるのですが、そんな中でも課題はちゃんと終わらせていましたね。親に通わせてもらっている大学なので、適当にはしたくなくて。例えば、課題でつくる作品をグッズにも展開できるようにテーマを考えることで、課題も自主制作も実現できることに気づいたんです。それにグッズまで展開したほうが就職活動用のポートフォリオに載せる作品としても使えるなって思いました。


イラストレーターとしての土台は
成安での学びの中にある


Q.04

入学当初から、「ゆめかわいい」を意識したイラストを描いていたのですか?

大学1・2年生のときはサブカル系(※2)っぽい絵を描いていたのですが、個人でのグッズ展開をしていらっしゃるクリエイターさんに興味を持ち始めたころ、「ゆめかわいい」というテーマに出会いました。世界観が確立された作品をつくりたいと思っていたことと、当時ゆめかわいい系といえば、という作家さんが極端に多いわけではなかったので、私はこのテーマでとびぬけたい!と思って描き始めたという面もあります。

Q.05

イラストレーターとしてやっていこうと決断したのはいつ頃からですか?

実は個人の活動は大学生の間だけで、卒業したら辞めようと思っていたので、それまでに好きなことは全てやって、普通に就職するつもりでした。でも、実際に就活を始めてみたら、色々な企業を受けたものの、自分が働きたいと思える会社に出会えなくて…。就活をやりきったうえで、自分のやりたいことは大学でやってきた個人の活動なんだって気づいたんです! 親とも相談して、イラストレーターとして活動することを決めました。


大阪・中崎町にある『tenten城』での定期イベントの様子。

>tenten城 Twitter


Q.06

現在イラストレーターとしての活動は主にどんなことをやっていますか?

イラストの仕事に関しては、グッズ制作・コラボイベント等をメインにお仕事を受けています。また、在学中からお世話になっている大阪の『tenten城』というショップでオリジナルグッズを販売しながら、月1回店頭に立ってグッズの販売や似顔絵を描く定期イベントをやっています。主催で行った大きなイベントとしては、活動を続けていくなかで知り合ったファッションやアクセサリーなどジャンルの異なるクリエイターさんとコラボした、セルフプロデュースカフェ『creator’s collabo café ama♡ii』を2日間限定でオープンしました。10ヶ月くらい準備期間を設けて、クリエイターさんの作品イメージをキャラクターにしてメニューを考案したり、コラボグッズのポストカードやキーホルダーをつくって販売しました。お客様もたくさん来てくださってすごく盛り上がりました。そのイベントがきっかけで、イベントやカフェとのコラボメニューをプロデュースする仕事が増えたので、自分の強みをつくることができたのを実感しています。

Q.07

2019年8月には東京・原宿にある「DESIGN FESTA GALLERY」で個展を開催したそうですね。

東京での個展は自分の次のステップに向かうための大きな転機にしたいと思い、開催しました。この個展はいままでやってきたことを東京の方にも知ってもらいという気持ちが大きく、「いままでとこれから」をテーマに展示しました。仕事として受けるコラボイベントでは、依頼主であるお店の世界観をどう表現するかを考えますが、個展は1から10まで自分の世界をつくっていくので、はる谷。の世界観を最大限に楽しんでもらえる空間で、楽しい思い出をつくれる時間を演出したい、というのが私の中での一番大きな個展をやる意味です。世界観を何よりも大切にして作品を制作しているので、個展の開催に関しては今後も続けていきたいと思っています。お客様の中には、はるばる大阪から来てくれたファンの方もいて、これまで頑張ってやってきた一つの成果かなって思いました。



セルフプロデュースしたカフェでは、はる谷。さんを含め5人のクリエイターをイメージしたキャラクターメニューを考案。


Q.08

イベントも個展も一つひとつ実績を積み上げて、自分の力にしていけるのはすごいですね。

私の近くには憧れているクリエイターさんがたくさんいて、みなさんの頑張りを見るとまだまだだなって。でも、今こうやって自分のやりたい活動ができているのは、成安でイラストレーションに関わる総合的なことが学べたからだと思います。DMをつくるために必要な技術を学べたり、学内にあるシルクスクリーンができるラボやデジタルの大型印刷ができる施設でグッズづくりを身近に体験できたり。自分がデザインした物を自分自身の手でつくれる環境が成安に整っていたことが、「なんでも自分でやってみよう!」という気持ちになれた要因のひとつだと思います。


ファッションも含めて、自分の世界観を表現するはる谷。さん。


他ジャンルのクリエイターとコラボして
新しいものづくりに挑戦したい

Q.09

これから成安でイラストレーションを学ぶかもしれない生徒さんにアドバイスするなら、何を伝えたいですか?

商業イラストレーターになりたいのか、それともアーティスト寄りのイラストレーターになりたいのか、どちらの方向へ進みたいかをできるだけ早く明確にできると、大学での学び方が変わってくると思います。肩書は同じイラストレーターでも、前者は仕事の依頼内容に合わせて色々なテイストのイラストを描くのが仕事で、後者はアーティスト要素を強く持ちながら仕事につなげていかなければならないので、アプローチの仕方が全然違う。依頼内容に合わせてイラストを描くことができる人、できない人がいると思うので、そこを意識しながら学ぶことが大事かなって。私はMON先生に憧れて商業イラストレーターの勉強もしていたんですけど、アーティストとしてやっていきたいとに気づきました。もっと早く気づけていたら、就活時期に悩まずにすんだのかなって思います。

Q.10

はる谷。さんの今後の目標を教えてください。

現在は派遣と両立して仕事をしている状況ですが、イラストやイベントを展開している「はる谷。」名義での仕事のみで生活できるようになりたいと思っています。自主的に活動している部分を安定させつつ、いろんな方とかかわりながら絵の仕事も増やしていけたらというのが一番の近い目標です。
また、自分の世界観をいろんな方に楽しんでもらえるような様々なイベントの企画にも挑戦していきたいと思っています。現時点での大きな目標として、自分のプロデュースしているプロジェクトであるama♡iiの「Creater×Girls」のテーマに沿った企画を運営する会社を作りたいというのがあります。自分のプロデュースした常時営業しているコンセプトカフェを開くというのも夢の1つですね。
今は成安で培った土台を強化していく時期だと思っているので、自分の強みを生かしながら一歩一歩頑張っていこうと思っています。

※1 Kawaiiカルチャーの一形態として誕生した「ゆめかわいい」(ゆめかわ)。ただ「かわいい」だけではなく、ゆめみたいなファンタジックさと儚さが詰まった「ゆめかわいい」世界観は、日本だけでなく世界中で注目されている。

※2 日本の昔ながらの価値観とは異なった、独自の趣味趣向を持つ若者文化。





●後日談●

後日はる谷。さんから連絡があり、インタビューの数ヶ月後に派遣会社を退職し、現在はフリーランスとして活動しているそうです。
インタビュー中に話していた通り企画面でも積極的に活動されており、プロデュースしたメイドカフェがオープンしたそうです。

2021年1月6日 追加

メイドカフェ「ドキッとプリンセス」の様子と会場でのはる谷。さん。

>メイドカフェ「ドキッとプリンセス」 ウェブサイト